好きなことして稼ぐ 努力しないで成功 都合の良いキャッチフレーズを求める理由 最強のマーケティング
国によってはベーシック・インカムの導入が議論されているように、
近頃は「稼ぎ」より「安楽さ」を求める人が増えているように思えます。
サラリーマンで毎日出勤して月30万円の給与所得を得るのはさほど難しくありません。
一方で、毎日家でダラダラしながら15万円稼ぐことは難しい。
ナマケモノが祖先なのでは?と本気で考えてしまうほどにダラダラ大好きな私にとっては
個人的にはこちらのほうが遥かに価値があると思っています。
人間は社会的な動物だということを考えると、生物学的には働いたほうが間違いなく良いはずなののですが、
現代は富裕層の搾取が強まり、貧富差が拡大し続けているため、この先もこの「稼ぎより気楽さ」を求める傾向は変わらない気がします。
誰も彼もが「楽に生きる方法」を求める社会では「真面目に努力して儲ける正攻法」は話題になりませんし、売れません。
売れるのは、株やFX、アフィリエイト、ポジティブシンキング等 頑張りや努力を必要としない(と表面上は思われている)ビジネスです。
こういう時代では特に「何の取り柄もない凡人が成功した方法」が、より多数の人々の心を惹き付け希望の的になる傾向が強い。
偉人や天才が順当に成功を収めるよりも、ダメ人間の有り得ないような成功例のほうが、大衆の心をより強く惹きつけることが出来るのです。
それを物語るように、売れていると言われている方々の商材のキャッチフレーズのキーワードを見てみると
「スキルもない」「仕事もできない」「勉学も興味がない」「運動神経がない」
「容姿に恵まれない」「コネがない」「何の才能もない」
「学校で落ちこぼれ」「会社で失敗」「起業で失敗」「会社でリストラ」「人間関係に悩んだ」
「努力しないけど上手くいく」「好きなことやれば叶う」「頑張らないけど成功」
このあたりがよく書かれています。
そして、その後の華々しい成功までの道のりや、何億稼いだなどが書き連ねられます。
そんなダメダメ人間が何億円も稼いだとすれば、その人は羨望の眼差しで迎えられるでしょう。
例えば何年か前に普通の主婦がFXで巨額の脱税をしてニュースになったとき、瞬く間に広がっていきましたね。
無能、凡庸と一般に思われている階層の人間が大活躍すれば、
「あんな奴が出来たんだから、きっと私にだってやれるはず!」
と多くの人に共感を与え、それらの中から顧客が生まれ押し寄せるのは、自然の流れというものでしょう。
世間にはろくな能力もないくせに過大に評価されている(と表面上は見える)人間がけっこういて、それが社会での競争に破れたり、疲れ果てた人の大いなる希望になっています。
・寝ているだけで、利益が出るFX
・空いた時間で片手間にやって儲かるアフィリエイト
・行動せずに夢を叶える、引き寄せの法則
・頑張らないで好きなことだけやって成功する心理学
・好きなだけ食べてダイエット
・遊んで覚える英単語
ナマケモノの私などは、このようなキャッチフレーズを見るとすぐ飛びついてしまいますが、
ネットには、このような出来るだけ楽をして、努力や頑張りなしで成功する方法を煽った商材や書籍で溢れています。
皆がこのような努力を否定した怠け者の為の成功例を求めているのです。
「何だこれ?」って思えるのに、異様に売れている本とか、異様に再生回数が多いYouTubeとか、PV数が異様に多いブログとか、みかけたことがあるのではないでしょうか?
どうして、そんなつまらなそうな、たいしたことのないものが売れるのでしょうか?
それは…「たいしたことがない」からです。
安っぽくてシンプルだからこそ、「自分にも出来るのでは?」と手が届きそうに錯覚するのです。
もちろん、努力を否定するつもりはありません。
それどころか目標があるならまっすぐ努力したほうが結果は早く出ます。実際「努力しないために頑張る」というのは実際にはむしろ遠回りになるので、むしろ大変ですし疲れてしまうでしょう。
確かに努力してしまったほうが楽ですし早いのですけれど、現在の大衆が求めているのは、「好きなことばかりやって、頑張らなくて、どこにでもいそうな大した事のなさそうなのだけれど、あり得ない成功を収めてしまったヒーロー」なのです。
顧客対象者と同じくらい低能、凡庸な人間が、身分不相応な成功を奇跡的に勝ち取っていくヒーローを求めているのです。
弱者の胸を打とうと思うなら、(実際にはそうでなくても)ダメダメな何の取り柄もなかった人間が活躍して、「こんな私でも出来るんだ」と皆に思わせる必要があります。
このように正攻法ではなくある程度の戦略を練って、夢と希望を与えるしかありません。
もしかすると時には必死に影で努力しながらも「自称頑張らないナマケモノ」を演じることも必要なのかもしれません。
その意味で、頑張る必要があるのです。
「人々に夢と希望を与えるには?」かつ「売れるには?儲けるには?」という疑問の1つの答えが「頑張らないように、頑張る」ということなのです。