ピグマリオン効果 「出来る」と思い込めば「出来る」
「思考は現実化する」という考えを提唱したのはナポレオン・ヒルですが、それはなかなか上手くいかないのが現実というものです。
ただ、実際「出来ない、出来ない」と思い込むことで、本当に出来なくなってしまうこともある気はします。
「豚もおだてりゃ木に登る」と単純にはいかないとは思うのですが、それを証明した実験があるのです。
ピグマリオン効果は、1960年代にアメリカの教育心理学者ローゼンタールにより提唱された説で「教師期待効果」とも呼ばれます。
ピグマリオン効果とは、学校や会社やスポーツクラブなどで、指導者から「君は出来るね。素質がありそうだ、君は伸びるよ」と応援されると実際に出来てしまうという、いうなれば「その人に期待をすれば人は伸びる」という効果のことです。
これは、もともとはローゼンタールが行ったネズミを用いた実験で、「このネズミは利口なネズミの系統」と学生に伝えたネズミと、「このネズミは動きが鈍いネズミの系統」と学生に伝えたネズミとの間で、迷路による実験結果の差を調べたところ、「利口なネズミ」と伝えられていたネズミの方が結果が良かったという実験に由来します。
このことからローゼンタールは、期待をこめて他者に対応することによって、期待をこめられた他者の能力が向上すると仮説をたて、学校における実験を行うに至りました。
ピグマリオン効果 Pygmalion effects - gooヘルスケア
サンフランシスコの小学校で、
「ハーバード式突発性学習能力予測テスト」
と名づけた普通の知能テストを行ない、学級担任には、今後数ヶ月の間に成績が伸びてくる学習者を割り出すための検査であると説明しました。
しかし、実際のところ能力テストにも検査にも何の意味もなく、検査の結果と関係なくランダムに選んだ児童の名簿を学級担任に見せて、「この名簿に記載されている児童が、今後数ヶ月の間に成績が伸びる子供達だ」と伝えました。
こんな実験をやるなんてどうなんだろうとは思いますが、それはさておき
結果はというと
その子供達は確かに成績が向上していったのです。
成績が向上した原因としては、「担任の先生が子供達に対して、期待のこもった眼差しを向けた」こと。
子供達のほうも「期待されていることを意識」して、成績が向上していったという報告がなされているという。
この実験から導き出せることは、
子供には「あなたなら出来る」と言ってあげれば、そのとおりになっていくというものです。
ポイントとして、
「~~だから出来る」という条件付きではなく
ただ「出来るよ」という
根拠のない自信をもたせてあげることです。
ちなみに、反対に、期待をしなかったり、根拠もなく「お前はダメな子だ」と言ってしまうと、自信を失い本当にダメになってしまうということです。
こちらはゴーレム効果と言うそうです。
もしお子さんが良くないことをして叱る場合は、その良くない行為についてだけ叱り、お子さんの人格などを否定する発言はしないようにすることが大事です。
「罪を憎んで人を憎まず」ということですね。
おそらく、これを実践で生かす際に、最も大事なことは
「心から出来ると信じてあげる」ことでしょう。
言葉やうわべだけで、「出来る」と言ってあげたところで意味はない気がします。
ローゼンタール自身の論文でも「期待を抱くことになる生徒とのつきあいが2週間以内の教師の場合には91%の研究でピグマリオン効果が見られたが、2週間以上のつきあいがある教師では12%の研究でしか効果が見られなかった」という報告がなされているのです。
ですから、最も大事なのは、「子供を心から信じてあげる」ということです。
この理論に従えば、
「うちの子は天才だ」と心から信じこんでしまえば、そうなりますし、
逆に「私の子だからしょせんこんなもの」と思ったらそうなるのです。
理論通りになるかどうかはわかりません
でも、大切なことは、子供を心から信じてあげることです。
「やれば出来る子」「素晴らしい子」と
子供を信じてあげて、愛してあげることだと思います。